はじめに
犬がシニアと呼ばれる年齢に差しかかったとき、私はまず「フードを切り替えたほうがいいのだろうか」ということを考えるようになった。幸い、食欲そのものはまだしっかりあった。器に顔を近づける勢いも変わらなかったし、散歩から帰ってくればいつも通りご飯を欲しがっていた。だからこそ逆に、いつ、どう切り替えればいいのか、私には判断がつかなかった。
この記事では、食欲がまだあるうちに私がシニア用フードへの切り替えについてどう迷い、何を調べ、何を基準に考えたかを書いておきたいと思う。何かを断定する記事ではない。同じように「まだ元気そうだけれど、切り替えを考えたほうがいいのだろうか」と迷っている人に向けて、私の経験と、調べる中で知った一般的な情報を整理して共有したいと思う。
私の場合はこうだった
うちの犬がシニアと呼ばれる年齢に近づいてきた頃、食欲そのものには変化がなかった。むしろ以前と変わらない勢いでご飯を食べていたので、正直なところ、フードのことを見直す必要性をあまり感じていなかった。
きっかけになったのは、食欲とは別の、いくつかの小さな体の変化だった。散歩の途中で以前より休むことが増えた。階段の上り下りに一瞬ためらうような素振りを見せることがあった。毛づやが少し落ち着いた印象になった気もしたが、これは私の思い込みかもしれないとも思っていた。どれも「決定的な異変」と呼べるほどのものではなく、日常の中に少しずつ紛れ込んでくるような変化だった。
そうした様子を見ながら、私はふと「このまま今までと同じフードを与え続けていていいのだろうか」と考えるようになった。食欲がある分、緊急性を感じにくく、後回しにしてしまいそうになる自分もいた。一方で、体が少しずつ変わってきているのなら、食事の内容も見直す時期に来ているのではないかという思いも同時にあった。
調べ始める前の私は、「シニア用フード」という表示があること自体は知っていたが、それが何を基準に区分されているのか、いつから切り替えるべきものなのか、まったく分かっていなかった。年齢が一定の数字に達したら自動的に切り替えるものなのか、それとも体調の変化を見てから決めるものなのか。そのあたりの判断基準が自分の中になかったことが、当時いちばん迷っていた点だったと思う。
調べて分かったこと
ここからは、当時の気持ちの記述からいったん離れて、後になって自分なりに調べて分かったことを、淡々と整理しておきたいと思う。私は獣医師ではないので、これは専門的な助言ではなく、あくまで一つの整理として読んでもらえればと思う。
シニア用フードという表示の考え方
シニア用と表示されたフードは、加齢に伴う体の変化に合わせて配合や粒の形状などが調整されているとされている。運動量が落ちてくることを踏まえたカロリー設計や、消化のしやすさへの配慮、噛む力が変化してくることを想定した粒の大きさなど、若い時期のフードとは異なる考え方で作られているものが多いようだ。
ただ、「何歳になったら必ず切り替えるべき」という一律の基準があるわけではなく、犬種や体格、個体差によって「シニア」に差しかかる時期の感じ方は異なるとされている。年齢はあくまで一つの目安であり、それだけで機械的に判断するものではないという理解が、調べていく中で私の中にできていった。
切り替えのタイミングをどう考えるか
食欲がある状態でフードを切り替える場合、体調に明らかな異変がないぶん、「今すぐでなければならない」という切迫感は持ちにくい。私が調べた範囲では、年齢の節目に加えて、日々の様子の変化――運動量の低下、体重の増減、毛づやの変化など――を併せて見ながら、切り替えを検討し始めるという考え方が一般的に案内されているようだった。
また、フードを切り替えるときは、一気に全部を新しいものに置き換えるのではなく、今までのフードに少しずつ混ぜていきながら、時間をかけて新しいフードの割合を増やしていくというやり方が広く案内されている。急な切り替えは体に負担がかかる場合があるとされており、少しずつ慣らしていく方法が望ましいとされていた。
確認しておきたいポイント
調べていく中で、私が「先に知っておきたかった」と感じたことをいくつか挙げておく。
まず、持病がある場合や、療法食など特定の食事管理が必要な場合は、市販のシニア用フードへの切り替えを自己判断で進めるべきではないという点。療法食は特定の体の状態に合わせて設計されているものであり、一般的なシニア用フードとは位置づけが異なる。持病の有無にかかわらず、フードを変える前にかかりつけの獣医師に相談することが最優先になると、私は今では考えている。
次に、体重や体格、活動量は個体ごとに大きく異なるため、パッケージに書かれた一般的な目安だけで量や内容を決めきらず、実際の体の状態を見ながら調整していく姿勢が大切だとされている点。
そして、切り替えの最中に食べる量が急に減ったり、便の様子が変わったりした場合は、無理に切り替えを続けず、いったん立ち止まって獣医師に相談したほうがよいとされていることだ。
これらはあくまで一般的に案内されている考え方の整理であり、うちの犬固有の状態について何かを断定するものではない。最終的な判断は、実際に診察した獣医師に委ねるべきことだと、私は考えている。
判断に迷ったときに考えたこと
ここまでに書いたようなことを、当時の私がすべて知っていたわけではない。食欲がある分、「まだ急いで決めなくてもいいのではないか」という気持ちと、「体が変わってきているのだから、考えたほうがいいのではないか」という気持ちが、しばらく私の中で入れ替わっていた。
何を基準にすればいいのか分からないまま、パッケージの表示を眺めたり、いくつかの情報を読み比べたりする時間が続いた。結局のところ、私は一人で決めきることができず、次の通院の機会に、今のフードのままでいいのか、切り替えを考えたほうがいいのかを相談してみることにした。
今の私なら: 体の小さな変化に気づいた時点で、フードのことも含めて早めに獣医師に相談すると思う。食欲があるからといって後回しにする必要はなく、「まだ大丈夫そうだから」という理由だけで判断を先延ばしにしなくてもよかったのかもしれない。ただ、当時の自分がそこまで早く動けたかどうかは、今でも分からない。
通院のときに相談してみると、今の体調であれば急いで切り替える必要はないが、様子を見ながら少しずつ検討していってよいという話をもらえた。そのやり取りを経て、私は初めて、切り替えるかどうかを自分一人で抱え込まなくてもよいのだと感じることができた。もし今、同じように「まだ元気そうだけれど、フードをどうしよう」と迷っている人がいたら、焦って一人で結論を出す必要はないと思う一方で、体の変化に気づいた時点で早めに専門家へ状況を伝えてみるという選択肢があることも、知っておいてもらえたらと思う。
おわりに
食欲があるうちにフードの切り替えを考えるというのは、思っていたよりも判断の難しい時間だった。分かりやすい異変がないぶん、何を基準に動けばいいのか、私はしばらく迷い続けていた。
シニア用と表示されたフードについて調べたり、切り替え方を少しずつ試したりする中で、食事を支えるための道具や商品というものが世の中には存在するということも、後になって知った。そうした選択肢があることを知っておくのは、悪いことではないと思う。ただ、それはあくまで日常を支えるための一つの手段であって、まず考えるべきは獣医師への相談だったと、今の私は感じている。
もしこの記事を読んでいるあなたが、今はまだ元気に食べている姿を見ながらも、フードのことで迷っているなら、その迷い自体は決しておかしなことではないと思う。
一人で抱え込まないために
ここに書いたのは、あくまで私自身の体験に基づく一つの記録であり、医学的な診断や治療法を示すものではありません。 もし当てはまるようであれば、無理をせずに、下記のような窓口にも相談してみてください。
- 動物の体調や医療的な疑問がある場合:かかりつけの獣医師、または地域の獣医師会
- 強い落ち込みや不眠が続く場合:公認心理師・臨床心理士などによる専門のカウンセリング機関
- 心身のつらさが強いと感じる場合:お住まいの自治体の精神保健福祉相談窓口など、公的な相談機関
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シニア期の食事に対応したフードを扱うサービスもあります。切り替えを検討する際の選択肢の一つとして、確認してみてもよいかもしれません。
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